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カミソリと言われた競馬予想家【宮城昌康】

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「カミソリ」と言われた馬と人

戦後初のクラシック三冠を成し遂げ、後に天皇賞、有馬記念をも制し五冠馬となった名馬「シンザン」は、長くいい足を使う走りや大きな着差を付けずに勝利する勝ちっぷりから、「ナタの切れ味」と言われ、それは競馬ファンなら誰でも一度は聞いたことがある、というほど有名な言葉である。

この「ナタの切れ味」と表現したのは「シンザン」を管理する調教師の武田文吾氏であるが、その言葉には実は前段があって、「コダマはカミソリ、シンザンはナタの切れ味。ただしシンザンのナタは髭も剃れるナタである。」というものだった。

コダマはシンザンがデビューする前年に引退した、シンザンと同じ武田文吾調教師が管理する、皐月賞、ダービーを制した二冠馬である。名声はシンザンに劣るかもしれないが、戦後の競馬ブームの火付け役となった名馬である。

一瞬の切れ味とマックススピードの速さをして「カミソリ」と言われたコダマであるが、そんな「カミソリ」の称号を得た競馬予想家がいたのをご存じだろうか。それが、「穴の宮城」とも呼ばれたカミソリ予想家、「宮城昌康」氏である。

宮城昌康の出自

父親はカキの養殖で一財を成し、「日本の牡蠣王」と言われた宮城新昌で、姉は「料理の鉄人」で名を馳せた「料理記者歴40年」でお馴染みの料理評論家、岸朝子というから出自でいうなら華麗なる一族となるところ、競馬予想会社を潰し最後は消息不明となった宮城昌康は、一族の枠に収まらない破天荒な人物だったとみえる。

ちなみに、妻は大映に所属した映画女優の若松和子で、その娘の夫は現役時代に通算1869勝でG1を4勝し、「逃げの中舘」と言われたツインターボの相棒、現調教師の中舘 英二である。

宮城昌康は、1970年代においては大川慶次郎・大橋巨泉と並び三大競馬予想家と言われ、作家の山口瞳をして「驚異の天才児」、「彼の推奨馬を他の評論家が無印にしているとき、私においては絶対の『買い』である」とまで言わしめた一世を風靡した予想家である。

しかし、失踪し行方知らずとなった晩年の姿からか情報は少なく(Wikipediaに氏の項目は無い)、当時の様子は断片的にしか残っていない。

切れ味抜群のエピソードの数々

「彗星のごとく競馬界に現れ、カミソリのような切れ味で大穴馬券を推奨し、一時代を築いた。そして姿を消すまで、宮城さんは徹底した美意識を感じさせる人だった。」(元木昌彦『競馬必勝放浪記』から)
中央競馬「関東版」の創刊直後、本紙予想を務めるが失踪。その後、大橋巨泉の手引きで競馬界に復帰しニッポン放送『競馬ニッポン』に出演。
予想会社を設立した途端に破綻し昭和56年に失踪。その後、消息がつかめないまま平成元年に亡くなった。
「競馬ブック」に所属後に、宮城情報センターという日本で初めてと思われる電話で予想を売る会社を設立した。
予想スタイルは「穴の宮城」と称された通り、穴狙い。AB−XY方式という独自の予想法で『11PM』などでも長く活躍。

これらの情報を見ただけでも、いかに異端で破滅的、そして美しい彼の生き方・生きざまが感じられるが、今の時代では化石どころか幻といってもいい。そして「予想」だけでなく、時代を先取りしたかのような「馬券の買い方」をも提供したというところが凄い。

馬単・3連複・3連単といった多種多様な馬券が買える現在、競馬で勝とうものなら予想だけでなく馬券の買い方が重要となっているのは常識であるが、その考え方を1970年代に持っていたのは彼ならではの異能だろう。

それが今でも馬券の買い方として語り継がれるAB-XY馬券である。宮城昌康の名前は知らなくとも、この必勝法の名を聞いたことがある人も多いのではないか。

AB-XY馬券

AB-XY馬券 人気をAB、人気薄をXYとした時、人気と人気薄の組み合わせAX,AY,BX,BYを買うという馬券。

配当が低いことから、人気どうしの組み合わせABを買わない、一方、当たる確率が低すぎるXYを買わないという買い方は、3連複・3連単フォーメーションが具現する買い方であり、更には全ての馬券に通ずる「勝つため」の思想である。

予想のほうも誰もが見向きもしないような馬に印を付け、それが結構当たったというから、その鋭い切れ味を味わった当時のファンを羨むばかりである。宮城昌康氏が残した著作は、「競馬予想のコツ10章」という書籍1冊だけだという。一度でいいから見てみたいものだ。

著者プロフィール
このブログの運営と記事作成をしています。

Diomed(ダイオメド)といいます。1969年生まれのおっさんです。
競馬や馬券のこと、その他ギャンブルにまつわる話を思いつくままに書いています。

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