最も偉大な珍名馬
珍名馬といえば、「オレハマッテルゼ」「オジサンオジサン」などで有名な小田切有一を思い浮かべる人が多いだろう。ほかにもマチカネワラウカド、マチカネフクキタルなどの「マチカネ」が冠名の細川益男、シゲルノコギリザメ、シゲルピンクダイヤなどの「シゲル」が冠名の森中蕃(しげる)なども有名である。
2001年の高松宮記念(G1)を勝ったオレハマッテルゼや、2019年の桜花賞で2着、秋華賞で3着と好走したシゲルピンクダイヤなどは、珍名でかつ活躍した名馬であるが、最も偉大な珍名馬と言えば、1773年に産まれた「Potoooooooo」に間違いない。
まず見た目で驚くのがこの名前「Potoooooooo」だが、最後の小さい8つ繋がっている「o」は、アルファベットの「オー」である。なお読み方は「ポテイトーズ」で、じゃがいものポテトのネイティブな発音である「ポテイト」の複数形である。
名前の由来
名前の由来は、この馬の面倒を見ていた馬丁(厩務員)が何か美味しいものを食べさせてもらったが、その名前を知らなかったので聞いたところ、「Potato(ポテイト)」と教えてもらった。馬丁は忘れないために厩舎の壁に書いておこうと思った。
しかし、正確なスペルが分からないため、発音の近い pot eight(ポット+エイト=ポテイト)と書くところ、eight(エイト=8)を oooooooo (8つのオーでエイトオー)と変えて「Potoooooooo」と書いておいて、ポテイトと読ませるようにした。(ポット+エイトオー→ポテイトオー)
※ 当時のイギリスの識字率は50%程度だったという。
これを見た馬主が面白がって馬名としたという。なお、綴りの上では「Potoooooooo」であるが、読みは複数形で「ポテイトーズ(potatoes)」と読まれる。現在、「Potoooooooo」ではなく、「Pot-8-Os」(ポット+八つのオー達)と表記されることが多い。
成績も凄い「Potoooooooo」
4歳から10歳までの間に、ジョッキークラブプレートなど34勝(28勝という説もある。)もした当時の最強馬であり、サラブレッドの基礎を作ったとまで言われる偉大なエクリプスの最良の産駒と言われている。
競走馬としても偉大な成績をのこした「Potoooooooo」だが、それ以上に種牡馬としての功績が大きい。天才馬産家と言われたフェデリコ・テシオのリボーと並ぶ傑作と言われ、直系子孫が世界のサラブレッドの約半数を占めるまでに発展したネアルコは、このポテイトーズ系である。
今は衰退したものの、1980年代頃までには大繁栄したハイペリオンもこのポテイトーズの直系子孫である。
この珍名馬にして歴史的名馬でかつ大種牡馬である「Potoooooooo」が産まれたのが、1773年というから250年以上も前の話である。日本は安永2年、徳川10代将軍家治(いえはる)の時代という。日本史は苦手なのでよく知らない将軍だが、この頃は田沼意次(たぬまおきつぐ)が幕政を主導した田沼時代というらしい。この田沼の名前は聞いたことはあるなぁ。
そんな時代につけた馬の名前が歴史に残っているのは、素晴らしい。しかし、珍名の歴史の長さは、競馬の奥深さを表しているとしみじみ思う。

